新春懇談会レポート:バンクーバー日系コミュニティが一堂に会し、活発な意見交換を実施

2025年2月3日(月)に、バンクーバー日系ビジネス連絡協議会10団体共催による「新春懇談会」がオンラインで開催されました。本懇談会は、昨年秋に着任された髙橋良明バンクーバー日本国総領事を囲んで親睦を深めるとともに、日系コミュニティが共有するテーマについて意見交換を行う年に一度の貴重な機会になりました。

当日の内容を振り返りながら、ご参加いただけなかった方にも雰囲気をお伝えできればと思います。

イベント概要

  • 日 時:2025年2月3日(月)19:00~20:30
  • 場 所:Zoom(オンライン開催)
  • 主 催:バンクーバー日系ビジネス連絡協議会10団体
  • 参加費:無料

総勢45人の方々にお申し込み・ご参加をいただきました。うち、企友会からの参加者は17名、そのほか、在バンクーバー日本領事館、日本・カナダ商工会議所、バンクーバー日本商工会(懇話会)、建友会、日系ツアーオペレーター協会、BOSS会、ガーデナーズ協会、日系女性企業家協会、など、連絡協議会の構成団体から広く多くの方が参加され、大盛況でした。

第一部:髙橋良明総領事の講演

3.1 講演テーマ:「バンクーバー3ヶ月を経ての所感・雑感」

懇談会の冒頭では、昨年10月に就任された髙橋良明総領事より、バンクーバーでの着任後3ヶ月の所感についてお話がありました。

3.1.1 髙橋総領事の略歴

  • 1991年より外務省に勤務し、大臣官房、安全保障や科学技術、パブリック・ディプロマシー、領事関係などを担当
  • シンガポール、アフガニスタン、オランダなど在外公館で要職を歴任
  • 2024年11月より在バンクーバー日本国総領事を務める

3.2 講演内容概要

髙橋総領事は、地政学リスクが高まる中で、カナダの建国精神とG7の一角を占めるまでになったこの国の外交的な進化について概観しました。まず、19世紀初頭、英国領だった北アメリカ(現在のカナダ)と米国が対立し、その経験がカナダという国のアイデンティティ形成の契機となったこと。その後、国としての力をつけていったカナダは要所要所で米国とは異なる考え方を提示し、それらは、例えば、平和維持活動の提案、ベトナム戦争での独自の立場、中国との早い段階での国交樹立などに見られること。更に、多様性を重んじた人道的な国家作りを標榜し、先住民族の権利を認めたり、日系人への謝罪と賠償を行ったり、積極的な移民政策をとることによって、世界各国から信頼される国になっていったこと、などに触れました。最後に、カナダの国としての在り方は、世界の国々が国際協調から自国優先の姿勢を強める中、改めて注目すべき価値であり、隣国である米国の研究を相当に行ってきているこの国が、どのような対応に出るのか、我々としても学ぶところが多いはずである、と締めくくりました。

第二部:懇談会

参加者同士がより近い距離感で交流できるよう、希望のテーマに沿って少人数のブレイクアウトルームに分かれて懇談が行われました。各部屋では、日系ビジネス連絡協議会に加盟する団体のメンバーがモデレーターを務め、参加者間で活発な意見交換が交わされました。二部の最後に、各ブレイクアウトルームの様子を、モデレーターから発表し、皆さんに共有しました。

4.1 ブレイクアウトルームのテーマ一覧

  1. 建築/住宅メンテ
    • モデレーター: 建友会 松原氏
    • 主な話題:カナダの住宅の定期メンテナンス、リノベーションのポイント、BC州における建築基準の最新動向など
  2. 就労ビザイミグレーション
    • モデレーター:企友会 白石 氏
    • 主な話題:就労ビザ取得の流れや注意点、学生ビザからの移行手続き、移民政策のトレンド、PR取得後のキャリア形成など
  3. 旅行・物流
    • モデレーター:バンクーバー日本商工会(懇話会)渡辺氏
    • 主な話題:カナダ国内外を問わない旅行情報のアップデート、物流・輸送の現況、近年の観光業の動向とビジネスチャンスなど
  4. 政治ートランプ2.0
    • モデレーター:バンクーバー日本商工会(懇話会)上遠野氏
    • 主な話題:米国政局の最新動向とカナダへの影響、カナダ連邦選挙、自由党党首選の見通し、日系社会への波及が想定されるシナリオなど
  5. 経済・ビジネス
    • モデレーター:企友会 岡本氏
    • 主な話題:トランプ関税によるカナダ、日本等への影響、今後の見通しなど

まとめとお礼

1時間半という限られた時間ではありましたが、髙橋総領事の講演とブレイクアウトルームを通じ、参加者同士の交流が一層深まったように感じます。オンライン形式ながらも、多くの意見が飛び交い、具体的な課題や新たなビジネスの種に関する発見もあったとの声が多数寄せられました。

今後もバンクーバー日系コミュニティがさらに活性化し、さまざまな分野での相互サポートや新しい取り組みが生まれることを期待しています。ご参加いただいた皆様、そして運営にご協力いただいた全ての方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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